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東京地方裁判所 昭和48年(特わ)213号 判決

被告人

1

本店所在地 東京都台東区小島町一丁目二番四号

商号

株式会社 博愛社

代表者

代表取締役今西勝男、同大村五郎

2

本籍 東京都台東区小島一丁目一三番一号

住居

東京都台東区蔵前四丁目八番七号

職業

会社役員

氏名

今西勝男

生年月日

大正一一年七月二八日生

3

本籍 東京都台東区小島一丁目三番一号

住居

本籍に同じ

職業

会社役員

氏名

大村五郎

生年月日

大正八年七月五日生

出席検察官

河野博

主文

1  被告人株式会社博愛社を罰金一二〇〇万円に、被告人今西勝男、同大村五郎をいずれも懲役八月に、それぞれ処する。

2  被告人今西勝男、同大村五郎に対しいずれも本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、東京都台東区小島一丁目二番四号に本店を置き、医療用紙製品ならびに医療用消耗品の製造および販売等を目的とする資本金一二、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社、被告人今西勝男、同大村五郎は、いずれも被告人会社の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人今西勝男、同大村五郎は共謀のうえ、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第一記載のとおり八一、二三九、三二三円あったのにかかわらず昭和四五年二月二五日東京都台東区蔵前二丁目八番一二号所在所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一二、三六八、六六一円で、これに対する法人税額が三、八六四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二七、九五八、五〇〇円と右申告税額との差額二四、〇九三、七〇〇円を免れ、

第二  昭和四五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第二記載のとおり六三、四五一、二三〇円あったのにかかわらず、昭和四六年二月二七日前記浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五、〇九九、九四八円でこれに対する法人税額が四、八六八、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額二二、六二四、九〇〇円と右申告税額との差額一七、七五六、四〇〇円を免れ

第三  昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が別紙第三記載のとおり二六、〇五七、七八五円あったのにかかわらず、昭和四七年二月二九日、前記浅草税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一〇、三七二、〇八六円でこれに対する法人税額が三〇、〇三三、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額八、七八二、七〇〇円と右申告税額との差額五、七四九、四〇〇円を免れ

たもの(各税額の算定は別紙第四のとおり)である。

(証拠の標目)

一、被告人今西勝男、同大村五郎の当公判廷における各供述

一、被告人今西勝男(二通)、同大村五郎の検察官に対する各供述調書

一、太田タツの検察官に対する供述調書

一、登記官認証の登記簿謄本

一、押収してある法人税確定申告書三袋(昭和四八年押第七九七号の二、三、四)

一、次の者の作成にかかる各証明書

十河和貞(三通)、林謙三、安田信託銀行上野支店(四通)、森下喜雄、小林東十、大山正数、大栗一久(二通)、水野文夫、高木茂、飯山吉徳(三通)、佐竹定美(四通)

一、次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書

雉鼻啓(二通)、加藤義明、太田タツ(二通)、橋本皓、佐藤功、被告人今西勝男(六通)、被告人大村五郎(二通)

一、次の者の作成にかかる上申書

岩田修治、佐野英二、綿引富郎、安田信託銀行証券代行部、石川公洋、高村栄宏、中央信託銀行本店証券代行部、山崎久子、東洋信託銀行証券代行部、太田タツ(四通)、鈴木勇、松田キヌ、竹内袈裟行、被告人今西勝男(二五通)、被告人大村五郎(二通)、被告人今西同大村共同作成

一、押収してある次の証拠物(いずれも前同押号のうちで、かっこ内にその符号を示す)

資差元帳四冊(五ないし八)、負債元帳四冊(九ないし一二)、金銭出納帳五冊(一三ないし一六)、仕入元帳五綴(一七ないし二〇)、貴田(株)債権譲受書一袋(二一)、銀行勘定帳一冊(二二)、「関東医科関係」と記載のノート一冊(二三)、定期預金メモ一袋(二四)、定期預金メモ等二袋(二五)、借入金メモ等一袋(二六)、出資金メモ等一袋(二七)、メモ四袋(二八)、計算書一袋(二九)、売掛帳三九綴(三〇ないし三三)、決算資料三袋(三四ないし三六)、登記済権利証三袋(三七)、(株)ウイニング法人税確定申告書一袋(三八)、契約書一袋(三九)、法人税確定申告書等控一綴(四〇)、売上日計表四綴(四一ないし四四)、東京商会売掛帳一綴(四五)、顧客勘定元帳写・新日本証券一袋(四六)、信用取引計算報告書等・遠山証券一袋(四七)、信用取引計算書等・金万証券一袋(四八)、顧客勘定元帳写等・遠山証券一袋(四九)、口座残高通知等・金万証券一袋(五〇)、受渡計算書等・新日本証券一袋(五一)、株式売買報告書等一袋(五二)、売買報告書等二袋(五三)、売掛帳九綴(五四ないし五七)、貸付信託最終計算書等一袋(五八)、請求書控二冊(五九)、貸借対照表一袋(六〇)、登記済権利証二袋(六一、六二)

一、大蔵事務官菊地修作成の調査書一〇通

一、検察事務官三ノ上立夫作成の捜査報告書二通

(法令の適用)

一、判示一ないし三の各所為ごとに、

被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項

被告人今西勝男、同大村五郎につき法人税法一五九条(懲役刑選択)、刑法六〇条

一、被告人会社につき刑法四五条前段、四八条二項

被告人今西勝男、同大村五郎につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(いずれも犯情最重の判示二の罪の刑に法定の加重)

一、被告人今西勝男、同大村五郎につき刑法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 池田真一)

別紙第一 修正貸借対照表

株式会社博愛社外2名

昭和44年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第二 修正貸借対照表

株式会社博愛社外2名

昭和45年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第三 修正貸借対照表

株式会社博愛社外2名

昭和46年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙第四 法人税額計算書

株式会社 博愛社

〈省略〉

軽減税率適用所得金額の計算

〈省略〉

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